リストライク(再鋳貨)の価値

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リストライク(再鋳貨)の意味

リストライク(再鋳貨)の意味は、いくつかあります。

  • あるコインの製造後、何年も経過してから、当時使っていた刻印(金型)をそのまま利用して再度コインを作る場合
  • 以前作っていたコインと全く同じデザインになるように刻印を作って、コインを作る場合

1の方が、厳しい定義でしょう。刻印を使い込むと、デザインが次第にぼんやりしてきます。それを再度使ってコインを作るとなると、新品なのにデザインの明晰さに欠けることになるかもしれません。

また、使用済みの刻印は捨てられることもあったでしょう。

というわけで、1のリストライクを作るには、「使い込まれておらず、運良く保管されていた刻印」の存在が必要になります。

それに比べれば、2の条件の方が、難易度が低いです。後年になって刻印を新規に作れば良いからです。

こういったリストライク(再鋳貨)のコインは、大量に作られることがあります。この場合、コインとしての付加価値はありません。金や銀の地金と同じ価格で取引されます。

その一方で、数量限定で製造されるリストライクがあります。この場合は、希少性が高くなります。残存数が少なければ、希少価値はさらに上がります。

私人が作ったリストライク

なお、広義のリストライクを見ますと、こんな定義もあります。

  • 私人が、プロモーションなどで勝手に作ったコイン

さて、これは問題かもしれません。この場合のリストライクは、レプリカや偽造と比べてどこが違うのでしょうか。違いは、下の点です。

造幣所で作られた

私人が勝手に作ったのに、造幣所で作られたとはどういうこと?ですが、昔の造幣所は管理が緩やかで、そこで働いている人が勝手にコインを作ってしまうことがありました。

(今でも、あるとかないとか…。)

よって、公的なコインでないから偽物だけれど、造幣所で作られたから本物です。ややこしいですが、アインティークコインの世界では、このようなコインが少なからず存在します。

では、大量生産されたリストライクと、希少性のあるリストライクを比較しましょう。

大量生産されたリストライク

最初に、大量生産されたリストライクのコイン価格を見てみましょう。下の画像は、第48回日本コインオークション(2018年12月開催)の結果です。

リストライクされたコイン

オーストリアのフランツ・ヨーゼフ1世の4ダカット金貨で、リストライクです。

グレードは「P/L FDC」となっています。すなわち、「プルーフのような輝きを持っていて、完全未使用品」ですから、とても高品質です。そして、入札の結果は64,000円でした。

さて、ここで、コインでなく金(きん)としての価値を計算しましょう。このコインの重量は13.76gで、金の純度は98.7%です。すなわち、金の重量は13.58gです。

金相場は、日々変化します。当時の価格は1グラム4,500円くらいでした。この条件で金としての価格を計算しますと、以下の通りです。

13.58g×4,500円×1.08(消費税)=65,999円

すなわち、この金貨は、地金の価値よりもわずかに安く落札されました。この金貨を買おうとして入札した人は、金地金価格を知った上でオークションに参加していたと予想できます。

リストライクのコインを買うときの留意点

以上の通り、大量生産されたリストライクは、プレミアムが付きません。このため、購入する前に、大量に製造されたかどうかを確認しましょう。

コインカタログ等で取引価格が「BV」となっていたら、それは地金価格で取引されています。BVとは、bullion value(=地金の価格)という意味です。

リストライクで超高額になる場合 

上の例とは逆に、超高額になるリストライクもあります。例えば、現存数が極めて少ない人気コインの場合です。

代表例は、アメリカ合衆国の1804年銘のシルバーダラーです。オークションで4億円以上の価格が付きました。これは、リストライクです。現存数が圧倒的に少ないことや状態の良さが評価されたのでしょう。

(とはいえ、凄まじい金額です…。)

希少性のあるリストライク

よって、「リストライク=安い」という公式にはなりません。コインごとに確認していきましょう。希少性のあるリストライクの例は、下の通りです。

英領インド ジョージ5世 15ルピー金貨

【コインNo】 7614
【発行国】インド
【額面】15ルピー
【発行年】1918年
【材質】金
【直径】22mm
【グレード】PF AU/UNC
【NGC】4437587-003

売り切れ
ジョージ5世 15ルピー金貨スラブ入り

英領インドで、1918年に発行された金貨です。このコインは、スラブ(ケース)に収められています。

なぜこのコインの価格が高いのか?ですが、グレードが高く、製造枚数がとても少ないからです。

アッパー・カナダのハーフペニー銀貨

【コインNo】 7777
【発行国】カナダ
【額面】ハーフペニー
【発行年】1794年
【材質】銀
【直径】30mm
【グレード】PF FDC
【NGC】4241828-017
【価格】346,500円(税込)

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ジョージ5世 15ルピー金貨スラブ入り

こちらも、スラブに入っています。カナダの銀貨です。当時はイギリスの植民地で、「アッパー・カナダ(Upper Canada)」と呼ばれていた地域で作られました。現在のオンタリオ州の一部です。

この銀貨はプルーフであり、発行枚数は10枚以下と予想されています。さらに、完全未使用(FDC)です。希少性が高い銀貨です。

アッパー・カナダ(Upper Canada)の地図

バハマの1ペニー銅貨

【コインNo】 7730
【発行国】バハマ
【額面】1ペニー
【発行年】1806年
【材質】銅
【直径】11mm
【グレード】PF UNC
【価格】159,500円(税込)

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イギリスの植民地バハマで発行された銅貨です。英領バハマは、下の地図の赤丸あたりにありました。

銅貨としては高価です。プルーフで発行枚数が少なく、さらには未使用(UNC)であるためです。

英領バハマの地図

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