アンティークコインの製造方法(古代~中世、近世、現代)

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コインの製造方法

コインの製造方法は、大きく分けて2種類あります。鍛造(たんぞう)と鋳造(ちゅうぞう)です。

鍛造は、コインの元となる金属に型を押し当て、ハンマーでたたくなどして圧力をかける方法です。欧州、中東、アフリカ、米州などで採用されました。

一方、鋳造は、溶かした金属を型に流し込んで、冷えたら取り出すという方法です。昔の中国や日本などで採用されました。日本では、江戸時代まで採用されていました。

そこで、紀元前から現代まで使われ続けている鍛造について、古代から現代までのコイン製造方法の違いを確認しましょう。

古代から中世にかけてのコイン製造方法

下の絵を見ていただくと、コインの作り方が簡単に分かるでしょう。

古代~中世のコイン製造方法イメージ

最初に、コインの元となる金(きん)や銀などを確保します。そして、一定の重量と形に整えたら、型に挟んでハンマーでたたく!という方法です。

下のコインをご覧ください。紀元前600年から紀元前550年くらいのコインです。表にはデザインがありますが、裏は何もないことが分かります。「何もない」は正確でなく、何か形があることが分かります。

古代ギリシャ エレクトロン1/6ステーター金貨 グリフォン頭像【希少品】

【コインNo】 7557
【額面】1/6ステーター
【製造年】推定紀元前600年~紀元前550年
【材質】金
【直径】10mm
【グレード】VF
【価格】280,000(税込)

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これは、デザインでなく、土台のデコボコです。コインの表には、デザインされた美しい金型を使ったのですが、裏についてはデザインしなかったということになります。

この方法ですと、コイン全体に均等に強い圧力を加えるのは、技術が必要だと想像できます。

下のコインは、古代ローマ皇帝ネロ(紀元1世紀)の金貨です。この時代には、表と裏の両方に刻印があることが分かります。しかし、裏面の刻印がずれているのはご愛嬌。全て手作業ですから、こういうこともあります。

むしろ、多少なりともズレているのが通常でしょう。

この状況は、銀貨等でも同じです。

帝政ローマ 第5代皇帝ネロ【アウレウス金貨】

【コインNo】 7844
【額面】アウレウス金貨
【製造年】55年~56年
【材質】金
【直径】19mm
【グレード】VF

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近世のコイン製造方法

時代が下りますと、ハンマーでたたくという方法は徐々に廃れ、およそ16世紀あたりまでには、別の方法が使われるようになりました。

それが、下の絵に描いてある方法です。

近世のコイン製造方法イメージ

この絵を見るだけで、様々な事が分かります。

複数の若い男性が、機械を綱を引いて回していることが分かります。これはプレス機です。プレス機でコインに刻印しています。

ハンマーよりも力強く、そして正確にコインを作れます。

ここで、気になる点があります。若い作業員らしき男性の足元に、カゴのようなものがあります。そして、小さな丸いものがたくさん入っています。

この小さな丸いものは、金貨です。

金貨を作ったら、無造作にカゴに入れてため込んでいることが分かります。そして、ある程度作ったら、そのままガチャガチャと音をたてながら別の場所に運んで、ドン!と置くでしょう。

そして、運搬中は麻袋に入れていました。運搬中に金貨がお互いにぶつかり合います。

…そうです。この当時の金貨は、流通前の新品が既に傷だらけなのです。何ともったいない!という感想を持ってしまいます。当時は、そんなことを考えて作っていないことが分かります。

この状況は、銀貨等でも同じです。

下の金貨は、オランダ・ユトレヒトの金貨です。ハンマーでたたく場合よりも、細かいデザインになっていることが分かります。

オランダ ユトレヒト 1/2ローズノーブル金貨

【コインNo】 8002
【額面】1/2ローズノーブル
【製造年】1601年~1602年
【材質】金
【直径】30mm
【グレード】-EF
【価格】230,000円(税込)

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なお、17世紀から18世紀にかけて、一部地域で「ローラーダイ」を使ってコインが作られました。この仕組みや特徴につきまして、別記事「【ローラーダイ】17世紀~18世紀のコイン製造方法」で考察しています。

レア画像もありますので、ご確認ください。

産業革命以降のコイン製造方法

そして、18世紀後半から19世紀にかけて、産業革命が起きました。人の手で押し回す方法に比べて、はるかに強力な圧力をかけられます。

下は、初期の蒸気式圧印機によるコイン製造の様子です。何やら複雑な構造に見えます。コインを作っている人は、作業服でありません。すなわち、人力を完全に脱していることが分かります。

産業革命以降のコイン製造方法

この方法を使うと、コイン一つ一つのデザインがくっきりと、美しくなります。下のコインは、イタリア王国建国50周年を記念して発行された金貨です。

細部にまで装飾が施されている様子が分かります。

イタリア ヴィットリオ・エマヌエル3世 王国50年記念 50リレ金貨

【コインNo】8068
【額面】50リレ
【製造年】1911年
【材質】金
【直径】28mm
【グレード】EF+
【価格】270,000円(税込)

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貨幣を無造作に運搬してしまい、新品なのに傷だらけ…というのは、この時期も同様でした。

現在の貨幣製造方法

そして、現代の貨幣は、コンピュータで高度に制御された方法で、寸分の狂いなく大量に作られています。

下は、造幣局ホームページからの引用です。コインにデザインを刻印している部分です。産業革命の時代と比べて、圧力も精度も圧倒的に優秀です。その分だけ、美しい貨幣ができます。

現在の貨幣製造方法イメージ

また、現代の記念コイン等は、購入者がコレクションアイテムとして大切に保管します。そこで、コインに傷がつかないよう、丁寧に作られます。

なお、造幣局ホームページの画像は小さいうえに、製造用の機械が部分的にしか掲載されていません。これは、貨幣製造が高度な機密事項に属するからでしょう。

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