エドワード3世のノーブル金貨を歴史と共に考察【イギリス】

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百年戦争当時に発行された金貨

イギリスのエドワード3世は、プランタジネット朝の国王です(在位:1327年~1377年)。高校世界史等で、フランスとの百年戦争を始めた人物として紹介されています。

実際に、100年間ずっと戦争をしていたわけではありませんが、大変な長期です。これは、エドワード3世が発行した金貨のデザインにも反映されてます。

そこで、コインのデザインを確認していきましょう。

イギリス ノーブル金貨 エドワード3世

【コインNo】8347
【製造元】イギリス
【額面】ノーブル
【製造年】N.D.
【材質】金
【直径】34mm
【グレード】F
【カタログ】SPINK1490/Fr89
【価格】400,000円(税込)

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ノーブル金貨の価値は希少性

当時の金貨には、製造年が刻印されていません。よって、明確な製造年は不明ですが、1351年~1377年の間に製造されました。

また、金貨の単位は、「ノーブル」です。そこで、ノーブル金貨と言えば、1ノーブルの価値がある金貨という意味になります。基準となる重量は7.77gです。

ここでご案内している金貨の重量は、7.61gです。すなわち、わずかに削れていることが分かります。

グレードはF(fine、並品)ですから、デザインも少しぼんやりしています。

では、この金貨は価値が乏しいか?ですが、高い価値を持っています。理由は、そもそも現存数が少ないからです。

イギリスのコインを専門に扱うカタログに、『COINS OF ENGLAND & THE UNITED KINGDOM』があります。通称「SPINK(スピンク)」と呼ばれているものです。

SPINKには、コインの参考価格も書かれています。このコインを見ますと、FとVFの価格のみ掲載されています。すなわち、EFはほとんど存在しないことを示唆しています。

数々の戦乱や災害等を乗り越えて、現在に受け継がれている貴重なコインです。

表のデザイン

表のデザインを確認しましょう。船があり、その中で王様が正面を向いています。この王は、エドワード3世でしょう。

王様が持っているのは、盾と剣です。

エドワード3世ノーブル金貨のデザイン(表面)

周囲に書いてある文字を確認しましょう。「EDWARD DEI GRA REX ANGL Z FRANC D HYB」です。

英語で「Edward by the Grace of God King of England and France Lord of the Ireland」となります。すなわち、「神の御加護で、イングランド王、フランス王、アイルランド卿となったエドワード3世」です。

エドワード3世はフランスを統治下に置いていませんが、自分はフランス王だと主張しています。

これは、コインの中の王様が持っている盾のデザインにも表現されています。下の通りです。

エドワード3世の国章

引用:ジョージワシントン大学

右上と左下のライオンは、イングランドの紋章です。そして、左上と右下の青地の紋章は、フランス王家のものです。

槍のようなものがたくさん描かれていますが、これはユリの花です。「fleur-de-lis(フルール・ド・リス)」と呼ばれています。

100年戦争は、1337年に始まりました。それ以前は、イングランドの紋章はライオン3頭のデザインでした。エドワード3世がフランス王の継承を主張するにあたり、上のデザインに変更しました。

家系図から見るエドワード3世

では、なぜエドワード3世は自分がフランス王だと主張できたのでしょうか。家系図を見ると分かります。

下は、簡略化した家系図です。左側がフランス、右はイギリスです。名前の下の数字は、国王として在位した期間を示します。

エドワード3世家系図

フランス王フィリップ4世の娘イサベラは、イギリス王エドワード2世と結婚しています。その息子が、エドワード3世です。

すなわち、エドワード3世は、フランス王家の血を受け継いでいます。

1328年、フランス王のシャルル4世が亡くなりました。彼には息子がいなかったため、従弟であるフィリッ6世がフランス王に即位しました。

この家系図を見たエドワード3世は、考えます。「自然に考えれば、シャルル4世の次のフランス王は自分なのでは?」と。

こうして、正統なフランス王後継者は自分だと主張することになります。

シャルル4世が亡くなったのは、1328年です。そして、エドワード3世がフランス王の座を求めて始めた百年戦争は、1337年開始です。10年くらいの空白があります。

この間にも、様々な交渉や衝突が繰り返されました。

ちなみに、現在のイギリスの紋章には、フルール・ド・リスはありません。と言いますのは、もうフランスは王国でないからです。19世紀に姿を消しました。

裏のデザイン

次に、裏のデザインを見ましょう。真ん中に十字があり、その周りに王冠やフルール・ド・リスが配置されています。

エドワード3世ノーブル金貨のデザイン(裏面)

周囲にある文字は、「+IhC AVTEM TRANSIENS P MEDIVM ILLORVM IBAT」です。英語で「But Jesus passing through their midst went His way」となります。

これは、ルカの福音書(聖書)の第4章第30節の言葉と同じです。「しかし、イエスは彼らの中を通り抜けて去った」という趣旨です。

1/4ノーブル金貨

この時期、金貨は3種類発行されました。ノーブル、1/2ノーブル、1/4ノーブルです。

1/4ノーブル金貨を2枚見てみましょう。全て手作業で作られた時代ですから、似たデザインながら派生形が何種類もあります。いずれも、製造年代は1351年~1377年です。

イギリス 1/4ノーブル金貨 エドワード3世

【コインNo】8165
【製造元】イギリス
【額面】1/4ノーブル
【製造年】N.D.
【材質】金
【直径】20mm
【グレード】F+
【カタログ】SPINK1495/Fr91
【価格】110,000円(税込)

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【コインNo】8057
【製造元】イギリス
【額面】1/4ノーブル
【製造年】N.D.
【材質】金
【直径】19mm
【グレード】VF
【カタログ】SPINK1498/Fr91
【価格】123,000円(税込)

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表は紋章を描いた盾、裏は真ん中に十字を描いたデザインです。ノーブル金貨のデザインを簡略化したものだと分かります。

表の周囲の文字は、「EDWAR R ANGL Z FRANC D HYB」です。「Edward, King of England, France and Ireland」すなわち、「イングランド、フランス及びアイルランド王であるエドワード」です。

裏は、「EXALTIBVR IN GLORIA」です。「I shall be exalted in glory」すなわち、「朕は誇り高く光り輝く」という趣旨です。

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