ブラウンシュバイク・ヴォルヘンビュッテルの巨大な5ターレル銀貨

製品案内【ドイツ】
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直径82mmの巨大なコイン

とても長い名前「ブラウンシュヴァイク・ヴォルフェンビュッテル(Braunschweig-Wolfenbuttel)」で発行されたコインを概観しましょう。

【コインNo】 7995
【額面】5ターレル
【製造年】1609年
【材質】銀
【直径】82mm
【グレード】Tone EF+
【価格】5,400,000円(税込)

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コインの特徴

このコインは、ブラウンシュバイクという土地と、ヴォルヘンビュッテルという土地を治めたハインリヒ・ユリウス(Heinrich Julius)が作った5ターレル銀貨です。

ターレルは、通貨単位です。

特徴的なのは、その大きさです。直径が82mmもあります。一般的に、アンティークコインと言えば、直径は20mm弱から40mmくらいまでの大きさです。40mm近くになると、とても大きくて迫力があります。

今回紹介していますコインは、40mmの2倍以上で82mmもあります。面積は、40mmのコインの4倍以上になります。

ちなみに、500円玉の直径は26.5mmです。それと比べても、直径は3倍以上、面積は10倍くらいあります。いかに大きいかが分かります。

贈答用で作られた

これだけ大きいと、持ち運びに不便です。大きいし重いので、財布に気軽に入れて持ち運びできません。

なぜこんなに大きなコインを作ったのか?ですが、贈答用です。一般流通用だとは想定しづらいです。

しかし、贈答用だとしても、分かりづらい点があります。この種の巨大な銀貨はレーザーターレルと呼ばれますが、17世紀のドイツのごく一部だけで見られた銀貨です。

ブラウンシュヴァイク・ヴォルフェンビュッテルの位置を確認しましょう。下のドイツの地図で、赤枠内にある二つの街です。

ブラウンシュヴァイク・ヴォルフェンビュッテルの地図

お世辞にも、有力諸侯の一角だとは言えないでしょう。中小諸侯が、なぜこんなに大きなレーザーターレルを作ったのか?です。

正確な回答は、本人に聞くしかありません。そこで、当時の状況から想像してみましょう。

芸術と建築が大好きなハインリヒ・ユリウス

為政者だったハインリヒ・ユリウスは、芸術が大好きでした。自ら演劇の脚本を書くほどでした。また、建築においても、都市城塞を作ったり運河を作ったりしました。

ということは、その芸術センス・建築センスがコインに向けられたとしても、全くおかしくありません。

「他の諸侯が作らないような素晴らしい銀貨」という視点があったかもしれません。

ちなみに、神聖ローマ帝国皇帝だったら、この種の目立つコインは金(きん)で作ったことでしょう。銀で作ったところに、中小諸侯の政治が見えるような気がします。

財政破綻で皇帝の支援を仰ぐ

なお、芸術や建築は、お金がかかります。その結果、ハインリヒ・ユリウスが治めていた国は財政破綻してしまいました。

すると、彼の支配下で生活している人々と紛争になります。ハインリヒ・ユリウスは、神聖ローマ帝国皇帝に支援を求めました。1606年のことです。

1607年以降も皇帝と頻繁に会うようになり、皇帝の信頼を得ることに成功しました。すなわち、政治力もついてきます。

政治力をさらに強くするには、どうしましょうか。おそらく、その手段の一つは、今も昔も変わりません。「贈り物」です。

ハインリヒ・ユリウスがレーザーターレルを作り始めたのは、1608年です。皇帝の信頼を得て、周辺に影響力を持つようになった時期と、ほぼ一致しています。

レーザーターレルのデザイン

では、レーザーターレルのデザインを確認しましょう。最初に、1608年のレーザーターレルから見ていきます。

1608年のレーザーターレル(表裏)

【引用:Numis Bids

この記事冒頭でご案内しましたコインと比べて、ほぼ同じデザインです。レーザーターレルは複数の種類が作られましたが、デザインは同じでした。このためか、下の赤枠部分に、額面金額が書いてあります。

このレーザーターレルには、3と書いてあります。すなわち、3ターレルの価値がありました。数字が大きくなるほど、銀貨の重量も重くなります。

1608年のレーザーターレル(表・拡大図)

そして、下のコインは、翌1609年に作られたコインです。1608年と比べて、少しデザインが変わりました。赤枠部分です。馬の足の位置を少し変えて、街並みを加えました。

ハインリヒ・ユリウスが統治した町の様子です。

1609年のレーザーターレル(表・拡大図)

なお、馬に乗っているのはもちろん、ハインリヒ・ユリウス本人です。大きな馬に乗り、マントをたなびかせている様子が分かります。

高額コインである理由

では最後に、銀貨であるこのコインが高額な理由を確認しましょう。ズバリ、数が少ないからです。

既に見ました通り、ブラウンシュヴァイク・ヴォルフェンビュッテルは小さいです。中小諸侯が贈答用に作ったコインとなれば、製造数は明らかに少ないでしょう。

しかも、グレードはEF+です。良い保存状態です。また、全体に良い感じでトーンがかかっています。

これらが相まって、高額なコインとなっています。

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