歴史の勉強をアンティークコインから
アンティークコインは、お金がかかる趣味です。このため、積極的にコインを収集している皆様は、社会人の方が多いでしょう。
そして、こういう方もいらっしゃるはずです。「中高生のときにアンティークコインに興味を持っていたら、(コインを買えなくても)歴史に興味を持つので、世界史や日本史で好成績を上げていたはずだ」と。
アンティークコインを所有すると、記憶力が急上昇する
当サイトの筆者は、アンティークコインに興味を持っています。しかし、あらゆるコインに興味があるわけではありませんし、歴史の専門家ではありません。
すると、どうしても記事を書けない分野が出てきます。
そういうとき、どうするでしょうか。回答は、「その分野に関連するアンティークコインを買う」です。
すると、このコインが発行された背景、そのコインを作ったのは誰か、その人は何をしたのか、その当時の時代はどのようだったか…そのコインの関連事項に関し、記憶力・理解力が一気に上昇します。
すなわち、記事を書きやすくなります。
記憶力や理解力が高まる理由は、分かりません。しかし、「その時代に存在し、当時の人々が手にしたコインが、今、自分の物になっている」という理由が大きいと思います。
受験勉強に利用できるかもしれない
ということは、日本史や世界史で苦戦している中高生にとって、アンティークコインが有効かもしれません。
歴史科目は、どうしても暗記に終始しがちです。しかし、それでは面白くありません。アンティークコインは、目で見て、触って、重さを感じ取れます。
コインを手に取り、想像力を膨らませます。すると、そこから先は単なる記憶にとどまらず、キーワードが有機的に結びついて記憶できるかもしれません。
もちろん、この方法が全員に有効だとは思いません。
しかし、アンティークコインは、買ってから消費されて消えるものではありません(傷をつけないよう、大切に保存しましょう)。「100年~2,000年も前のコインが我が家にある」というだけで、歴史を学ぶのに良い環境だと思います。
この記事で紹介するコイン
ただし、教育目的だといっても、あまりに高額なコインを買うのは、費用対効果の面で疑問があります。
ここでは概ね6万円を上限にしてコインをご紹介します。
なお、「将来、コインを売ればお金が戻ってくるわけだし、もう少し高額でも良い」という場合は、個人的には小判が面白いと思います。小判を土台にして、708年の和同開珎から1897年の貨幣法まで、日本史の幅広い範囲に関心を広めることが可能です。
(コインのスペック表にある「グレード」の読み方につきましては、別記事「アンティークコインのグレード(格付け)」でご確認ください。)
古代ギリシャ・古代ローマ帝国
世界で最初にコインが作られたのは、紀元前7世紀です。そこから紀元後300年代までが、古代ギリシャ・古代ローマ帝国の時代です。はるか昔の時代ですが、当時のコインが残っています。
古代ギリシャ アレキサンダー3世 テトラドラクマ銀貨
テムノスは、現在のトルコの西海岸にありました。アレキサンダー大王は、紀元前323年に亡くなっています。しかし、そこから100年以上経過してもなお、コインに肖像が描かれています。
当時の人々にとって、彼がいかに偉大だったかが分かります。
- アレキサンダー大王(アレクサンドロス3世)
- マケドニア
- アケメネス朝ペルシア など
古代ローマ帝国 アントニヌス・ピウス
古代ローマ帝国の五賢帝の一人である、アンントニヌス・ピウスが発行した銀貨です。古代ローマの五賢帝の名前を覚えるだけでも厄介ですが、彼が発行したコインを持っていると、それだけで覚えやすくなるでしょう。
- 五賢帝
- アンントニヌス・ピウス
- パックス・ロマーナ など
古代ローマ帝国 アントニヌス・ピウス デナリウス銀貨
こちらも、五賢帝の一人であるアンントニヌス・ピウスが発行した銀貨です。銀貨の色合いも良く、デザインも分かりやすく残っています。
なお、歴史で彼の名前を勉強しても、何をしたかを勉強することはないでしょう。と言いますのは、この時代、戦争や暴動などが少なく、平和だったからです。
歴史の勉強とはすなわち、欲望と殺戮の連鎖を学ぶことです。しかし、アントニウス・ピウスにはそれがありません。すなわち、素晴らしい君主だったと予想できます。
- 五賢帝
- アンントニヌス・ピウス
- パックス・ロマーナ など
ドイツ(神聖ローマ帝国)
神聖ローマ帝国は、962年から1806年まで続いた国家です。とても長期にわたりますし、西洋史を勉強するのに欠かせません。
神聖ローマ帝国 1ターレル銀貨 ヨーゼフ2世
神聖ローマ帝国は、数多くの国(領邦国家)の集合体でした。これが、ややこしいです。そこで、誰かを主人公にして、そこから知識を広げていくと良いかもしれません。
ヨーゼフ2世は、マリア=テレジアの息子です。啓蒙専制君主として国内の改革を目指しました。
- マリア=テレジア
- 啓蒙専制君主
- イエズス会 など
イタリア
イタリア王国 5センテシミ銅貨 ヴィットリオ・エマヌエル2世
イタリア王国 5リレ銀貨 ヴィットリオ・エマヌエル2世
イタリアは、ドイツと並んで統一が遅かった国です。ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世は、統一されたイタリア王国の初代国王です。イタリア全土の統一に尽力した国王です。
- 未回収のイタリア
- イタリア王国初代国王
- 教皇領の占領 など
オスマン帝国
オスマン帝国 1アルティン金貨 第29代皇帝ムスタファ4世【極美品】
オスマン=トルコ帝国は、1299年から1922年にかけて存在しました。欧州から見ると脅威を与えていた国で、ビザンツ帝国を滅ぼしました。西洋中心の歴史でなく、中東やイスラムを中心にして歴史も眺めると、理解の幅が広がります。
- ビザンツ帝国
- 青年トルコ革命
- ケマル=パシャ(アタテュルク) など
フランス
フランスで最も勉強しづらいのは、フランス革命前後ではないでしょうか。政治体制の入れ替わりが早く、国際関係も複雑です。
ここでは、(最初の2枚を除き)主にナポレオンのコインをご案内します。
フランス 1/2エキュー銀貨 ルイ14世
ルイ14世の時代、フランス絶対王政は最盛期でした。ヴェルサイユ宮殿を作ったり、強力な軍隊で周辺諸国に侵攻を試みたりと、世界史を学ぶ上でキーワードが多い王様だと言えるでしょう。
- 絶対王政
- 王権神授説
- スペイン継承戦争 など
フランス 1/2エキュー銀貨 ルイ16世【トーン・極美品+】
ルイ14世時代からの財政赤字は、ルイ16世の時代には回復不可能なほどになりました。これが、1789年のフランス革命の原因の一つになっています。この銀貨は1791年発行です。ルイ16世は、革命後も一定の権力を持っていたことを示しています。
- フランス革命
- マリ=アントワネット
- 第一共和政 など
ナポレオン1世
以下、ナポレオン1世に関連するコインが数多く並んでいます。ざっと見ていただいて分かるのは、グレードが高いコインが多いことです。また、銅貨や一部の銀貨は大型になっています。
直径で40mm前後以上になりますと、手に持った時にずっしりと重く、迫力があります。
ナポレオンの時代は、フランス革命以降の政治の混乱期でした。フランス国内に限らず、欧州全体を大きな影響を与えましたから、多数のキーワードが出てきます。
多数のキーワードを前にして圧倒されるのでなく、何かを軸にして、そこから知識を広げていく方法があります。これらのコインが、知識の軸になるかもしれません。
- 対仏大同盟
- 大陸封鎖令
- ワーテルローの戦い など
フランス ナポレオン1世 銅メダル ドゼー将軍追悼記念【準未使用~未使用品】
フランス ナポレオン1世 銅メダル レヒ橋にての訓示記念【準未使用~未使用品】
フランス ナポレオン1世 銅メダル イストリア征服記念【未使用品】
イタリア ナポレオン王国 3センテシミ銅貨 ナポレオン1世【極美品+】
フランス 1フラン銀貨 ナポレオン1世【極美品】「↑↓」
【コインNo】 7147
【発行国】フランス
【人物】ナポレオン1世
【額面】1フラン
【発行年】1812年
【材質】銀
【直径】23mm
【グレード】EF
【NGC】4379582-016/55
【価格】60,500円(税込)

フランス 5フラン銀貨 ナポレオン1世 百日天下
ナポレオン1世失脚後
1815年にナポレオン1世が失脚した後も、フランスに政治的な安定は訪れませんでした。ウィーン体制での反動的な政治から革命、暴動、そして帝政へと進み、戦争も頻繁に起きました。
これらの時期の為政者も、自らの姿を表したコインを作っています。
200年近くも前のコインにもかかわらず、未使用(UNC)または完全未使用(FDC)のものがあります。コインの状態が良いですから、勉強のためだけでなく、コインの美術的な美しさも堪能していただけるでしょう。
- 7月革命
- 2月革命
- 第2帝政 など
フランス 1/4フラン銀貨 ルイ・フィリップ
フランス 50サンチーム ルイ・ナポレオン
フランス 5フラン銀貨 ナポレオン3世【トーン・極美品+】
フランス 1フラン銀貨 ナポレオン3世【トーン・完全未使用品】