20年に渡って金価格が上昇中

金相場が上昇を続けています。2020年の新型コロナウイルス問題を受けて上昇している面がありますが、価格自体は、2000年頃から継続的に上昇を続けています。
下のグラフは、田中貴金属工業ホームページの公開データを元に制作したものです。
1980年頃をピークにして2000年まで下落を続け、その後反転して上昇している様子が分かります。直近は、過去50年近くで最高値を付けています。

金相場高騰の理由
金価格が上昇する理由はなぜか?と言えば、金の需要が供給よりも大きいからです。では、なぜ需要が大きいのでしょうか。
金は各種産業で消費されますが、劇的に消費量が上昇したわけではないでしょう。それよりも、現在の通貨制度に対する不安が、資産防衛としての金需要を押し上げているのでは?と予想できます。
現在の通貨(円や米ドルなど)は、各国の信用を裏付けにして発行されています。金(きん)や銀を裏付けにしていません。これを、管理通貨制度と呼びます。
信用が失われれば、通貨の価値もなくなります。金(きん)の裏付けはありませんから、文字通りに紙くずになります。
これは、考え方としてはあり得ますが、現実にそうなるか?と問われれば、疑問符が付きます。しかし、現在の状況に不安を感じる人は、相当数いるでしょう。そういう人たちは、現金よりも金を志向するかもしれません。
また、そういう人が出るだろうと予想して、売買差益を目的にして金を買う人も大勢いるでしょう。
これらが合わさって、金価格が高騰していると予想できます。
金価格の変化とアンティークコイン価格の関係
さて、ここで一つ疑問が浮かぶかもしれません。金相場の変動とアンティークコイン価格の関係は、どうなっているのだろう?と。
ここでは、アンティーク金貨について考えます。過去の価格推移を見ますと、興味深い関係があります。
イメージのグラフを元にして、確認しましょう。
1金価格高騰前
金価格高騰前について、下のグラフを描きました。縦軸は価格、横軸はグレードです。グレードが高い方が、価格も高いです。

価格は直線的に右肩上がりなのではなく、グレードが高くなればなるほど、価格の上昇角度が大きくなります。
2金価格高騰中
さて、ここで金価格が高騰したとします。アンティークコインの金貨は、金で作られています。金相場が上昇したのですから、コイン価格も上昇します。
下は、その様子を描いています。自然な価格変化でしょう。

3金価格下落後
その後、金の高騰は収まり、金相場が下落を始めたとします。そして、元の位置に戻ったとします。この場合、アンティークコイン価格はどのように変化するでしょうか。
過去の推移を見ますと、下の通りです。

グレードが低い金貨は、金相場の低下とともに価格が下がります。グレードが極めて高い金貨は、価格が下落しません(または、下落しづらいです)。
グレードが高い金貨の価格が下落しづらい理由
なぜ、このような特徴が出るのでしょうか。その理由は確かではありませんが、考察してみましょう。
グレードが低くて現存枚数が多い金貨は、安いです。しかし、金の地金価格よりも安くなることはありません。すなわち、金貨の価格は、金相場に連動しやすくなります。
よって、金相場が上がれば価格も上昇しますし、金相場が下落すれば、金貨の価格も下落します。
一方、グレードが高い金貨は、様子が異なります。まず、グレードが高いアンティークコインは、枚数が極めて少ないです。よって、欲しいけれども買えないという人が大勢います。
金相場の上昇とともに金貨の価格が上昇しました。その後、金相場の下落とともに金貨の価格が下落するのを警戒して、誰かがグレードの高い金貨を売りに出したとします。
すると、その金貨は売れます。なぜなら、欲しい人が大勢いるからです。価格が下落しようものなら、喜んで買う人もいるでしょう。
すなわち、価格は下落しづらいです。
2008年のリーマンショック頃のアンティークコイン価格
この関係は、2008年のリーマンショック前後のコイン価格にも言えそうです。
下のグラフは、最も貴重な部類にあるコインのインデックス(GB200)と、日経平均株価の推移です。

2008年のリーマンショック前後の事態を受けて、経済状況は散々でした。日経平均株価は、半分になりました。しかし、アンティークコイン価格(GB200)は、上昇を続けました。(上図の赤枠部分)
これも、「希少なコインはそもそも数が少なくて、それに比べて欲しい人はあまりに多い」という状況を反映しているのでしょう。
金価格高騰後に資産防衛したいなら
さて、新型コロナウイルス問題を受けて、自分も資産防衛をしたいと考えたとしましょう。どうしましょうか。
金の現物を買うという選択肢があります。しかし、この記事を掲載した時点の金価格は、過去50年近くで最も高い位置にあります。今後、金価格は大きく下落するかもしれません。あるいは、現在よりもっと高くなるかもしれません。
金相場の行方は不明ですが、現在の価格が高いというのは事実です。今、金の現物を買って、将来の価格が下落したら、損してしまいます。
この場合、「グレードが極めて高いアンティークコイン(金貨)を買う」という選択肢があります。
アンティークコインについても、将来の価格は誰にも分かりません。しかし、過去の推移が今後も当てはまるとするなら、価格は下落しづらいと期待できます。
どの金貨が良いか?
また、グレードが高いアンティークコインなら何でも良いというわけではないでしょう。人気が高い金貨、あまり人気がない金貨があるでしょう。
あるいは、今は過小評価されているけれど、今後は期待できる金貨というのもあるかもしれません。こういった金貨を選ぶには、専門家の視点が必要です。
アンティークコイン購入予算が300万円~500万円以上あるという場合、(株)ダルマの大谷社長からコイン情報をもらいつつ、一緒にコインを選ぶことができます。
大谷社長の人となりにつきましては、別記事「株式会社ダルマ社長に聞きました」でご確認ください。大変穏やかな方で、博識です。
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