ペルーのアンティークコイン【金貨・銀貨】の読み方

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アンティークコインに書かれた暗号?

ペルーのアンティークコイン

ペルーのアンティークコインを眺めていると、「暗号か?」と思うような記号に出会うことがあります。下の金貨の場合、株式会社ダルマのホームページの説明に「ME JP」と書かれています。

フェルディナンド7世 8エスクード金貨

【コインNo】6426
【発行国】ペルー
【額面】8エスクード
【製造年】1810年
【素材】金
【直径】36mm
【グレード】AU/UNC

【価格】700,000円(税込)

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各種コインのカタログを見ても、ペルーの解説部分には、「ME JP」のような見慣れないアルファベットが並んでいます。種類はいくつもあります。

この記号は何でしょうか。この記号を確認しながら、ペルーのアンティークコインを概観しましょう。

造幣所記号と検査官の名前

このMEとJPの意味は、それぞれ以下の通りです。

  • ME:造幣所記号
  • JP:検査官(assayers)2名の名前
ペルー金貨の裏面(造幣所記号と検査官の名前)

上の金貨画像で、左側の赤枠にMEの文字があります。デザイン化した文字です。

MEとは、ペルーの首都リマを表します。リマに造幣所がありました。リマの表記方法はMEだけでなく、複数あります。

そして、右側の赤枠に「J・P」とあります。当時の検査官2名の名前は、以下の通りです。名前の最初のアルファベットを書いています。

  • J:Juan Martínez de Roxas
  • P:Pablo Cano Melgarejo

検査官(assayer)とは何か

では、検査官(assayer)とは、一体何でしょうか。assayerをもう少し正確に訳しますと、「金属の品質を検査する人」です。

為政者以外でコインに名前を書かれる例としては、コインの絵をデザインした人が多いでしょう。

あるいは、フランスのように、造幣局長名が書かれる場合もあります(文字でなく、絵で表現されます)。しかし、検査官が表示されるのはなぜでしょうか。

これを知るには、ペルーが発行したコインの歴史を見ると、分かりやすいです。

ペルーのコイン「コブ・マネー」

簡潔にペルーの歴史を確認しましょう。

ペルーの地図

ペルーは、南アメリカの西部にあり、太平洋に面しています。16世紀になり、南アメリカはスペインとポルトガルの支配下に入りました。

ブラジルの東半分を除いて、全てスペイン領というイメージです。

そして、南米では貴金属、特に銀がたくさん見つかりました。スペインは、早くヨーロッパに持ち帰って使いたいです。

そこで、見た目の品質よりも、大量生産を重視してコインを作りました。いわゆるコブ・マネー(cob money)です。

コブ・マネーとは、貴金属を細長い棒状にして、一定の重量で輪切りしていきます。そして、輪切りした金属に刻印して出来上がり!という作り方です。

下が、ペルーの首都リマで作られたコブ・マネーです。同時期の他国のコインに比べて円形でありませんし、刻印もいい加減という感じがします。

このコインのグレードはUNC(未使用品)です。すなわち、当時のコインは、ほとんどこのような感じだったということです(コインの周囲に見える白いものは、保護カバーの一部です)

フェルディナンド7世 8エスクード金貨の改良前

なお、スペイン本国のコブ・マネーにつきましては、別記事「スペインのアンティークコイン【大航海時代からフェリペ2世まで】」でご確認ください。コイン画像があります。

このように、コイン1枚1枚の美しさよりも生産の効率性を重視したわけですが、コインの品質を最終的に確認する役職がありました。それが、検査官(assayer)です。

検査官の不正

この検査官ですが、任期は1年で、立候補制でした。立候補した人からどのように選ぶかですが、「よりたくさんのお金を支払った人」が選ばれました。すなわち、お金で役職を買ったというわけです。

では、お金で役職を買った人は、なぜ買ったのでしょうか。名誉が欲しかったのかもしれません。しかし、儲かるからという理由もあったでしょう。

では、なぜ儲かるか?です。コインとは、お金そのものです。その品質を、自分の判断で決められるという役職です。役職を得るために支払ったお金以上に、しっかりと稼ぎたいでしょう。

この状況で、何が起こるでしょうか。「コインの品質を不正に悪化させる」です。コインの品質をこっそりと悪化させて、しかし、品質は従来のまま素晴らしいです!と言って発行します。

その差額は、検査官の懐に入るという仕組みです。

しかし、こういった不正は、いつの日かバレてしまうものです(バレてしまったから、こうして記事に書けます)。

とはいえ、コブ・マネーはもともと高品質とは言い難いですし、刻印も全体の一部しかありませんので、いつだれが作ったものか、見た目で判断するのは大変です。

コブ・マネーの生産中止

そこで、品質が高い金貨・銀貨を作りなさいという法律が、1730年に成立しました。

しかし、スペイン本国から遠く離れたペルーで、最新鋭機器もないのに高品質のコインを作りなさいと言われても、すぐに実行できるわけではありません。

よって、コブ・マネーは1700年代半ばまで製造されました。そして、この記事の冒頭でご案内しましたような高品質なコインは、1700年代半ばから作られるようになりました。

しかし、今までの経緯があります。本当に高品質なコインが作られるかどうか不安です。

そこで、以下の対策も取られました。この対策自体は、1600年代から徐々に採用されてきたものです。

  • 年号の明示
  • 造幣所の明示
  • 検査官の明示

この経緯があって、検査官の名前が書かれています。不正なコインが見つかれば、誰が検査官だったか簡単に分かります。

すなわち、検査官の名前を刻印するのは、不正防止のためでした。

コインに名前が書かれるというのは、通常は名誉なことです。ペルーの場合も名誉なことだったろうと予想できますが、ヨーロッパ諸国と比べて意味合いが少々違うことが分かります。

その後、ペルーは1821年に独立を宣言します。検査官の名前を刻印するスタイルは継続しましたが、20世紀には消えることとなりました。もう不要だと判断したと予想できます。

金貨のデザイン

では、冒頭でご案内しました金貨のデザインを見ていきましょう。

表側

フェルディナンド7世 8エスクード金貨の表側のデザイン

表側は、スペインのフェルナンド7世(在位:1808、1813~1833)の肖像です。周囲に書いてある文字は、「FERDIN VII D G HISP ETIND R」です。

英語で”Ferdinand VII by the grace of God King of Spain and the Indes.”、日本語で「神の御加護によりスペインとインド諸島を治めるフェルナンド7世」という趣旨です。

裏側

フェルディナンド7世 8エスクード金貨の裏側のデザイン

真ん中にある盾は、ハプスブルク家の紋章です。ハプスブルク家は一時の勢いがなくなってきたとはいえ、広大な土地を治めていました。よって、紋章もいろいろな地域のものがたくさん描かれています。

また、盾を囲んでいるものは、スペインの最高勲章である金羊毛勲章(the Order of the Golden Fleece)です。15世紀に制定された、歴史ある勲章です。

頸飾(けいしょく・首輪)にぶら下がっている勲章は、羊をデザインしています。

金羊毛勲章のデザイン

(引用元:wikipedia

ペルーのアンティークコイン 

ペルーでも、数多くのコインが発行されてきました。最後に、ペルーのコインを見ていきましょう。

フェルナンド6世 8レアル銀貨【極美品+】

  • 造幣所:LM(リマ)
  • 検査官(assayer):JD

【コインNo】7078
【額面】8レアル
【発行年】1754年
【素材】銀
【直径】39mm
【グレード】EF+

【価格】230,000円(税込)

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カルロス3世 8エスクード金貨

  • 造幣所:LM(リマ)
  • 検査官(assayer):JM

【コインNo】5721
【発行国】ペルー
【額面】8エスクード
【製造年】1765年
【素材】金
【直径】36mm
【グレード】-VF

【価格】550,000円(税込)

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独立後

女神座像 1ソル銀貨

【コインNo】7294
【額面】1ソル
【発行年】1930年
【素材】銀
【直径】37mm
【グレード】UNC
【NGC】4484595-003/64/

【価格】53,000円(税込)

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女神座像 20ソル金貨【極美品+】

【コインNo】 7961
【額面】20ソル
【製造年】1951年
【材質】金
【直径】23mm
【グレード】EF+
【価格】67,000円(税込)

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インディアンヘッド 50ソル金貨【完全未使用品】

【コインNo】 7969
【額面】50ソル
【製造年】1967年
【材質】金
【直径】34mm
【グレード】FDC
【価格】310,000円(税込)

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歴史(history)【カテゴリ】

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