アンティークコインの修正痕は価値が大きく下がる

グレード/価値【カテゴリ】
翻訳

ウナとライオン(Una and the Lion)の例

アンティークコインは、傷や欠けがあるからといって修正すると、価値が大きく下がります。例えば、下のコインを見てみましょう。コレクターの間でとても有名な「ウナとライオン(Una and the Lion)」の5ポンド金貨です。

ウナとライオン5ポンド金貨

これは、株式会社ダルマの「第49回日本コインオークション」で出品されたコインです。極めて傷が少なく、美しい状態を保っています。

2019年時点で、ウナとライオンの5ポンド金貨は、2,000万円が相場だといわれます。しかし、これほど状態がよい金貨でしたら、さらに高値がついても全くおかしくありません。

しかし、オークションのスタート価格は700万円でした。こんなに安値になってしまった理由は何でしょうか。

コインに修正痕があった

実は、このコインには修正痕があったのです。下は、上のコインを拡大したものです。後ろ髪の下部分にごくわずかな修正痕があります。

比較のために、無修正のコインと並べました。白い矢印の先に修正がありますが、分かるでしょうか。

この画像では、分からないです。コインを傾けて光の反射の加減を調整すると、特定の角度にした時にわずかに確認できます。修正した技術者の技量が、とても高いことが分かります。

しかし、修正品扱いです。

ウナとライオン5ポンド金貨の修正痕

コインの傷を修正・修理してしまう理由

アンティークコインには、様々な視点から見て価値があります。例えば、「貴金属である」という価値です。そのほかに、「歴史的な遺産であるという価値もあるでしょう。そして、「美術品である」という価値もあります。

世の中には、様々な美術品があります。そして、美術品の特徴として、「それ一つしかない」という点があります。

歴史的に有名な画家や彫刻家などが、様々な作品を残しました。そして、美術品は有形物ですから、時とともに劣化します。そのまま放っておくと、劣化がさらに進んでしまいます。

そこで、修正技術が発展してきました。

修正を施すと、それは元の作品とは大なり小なり異なってしまいます。しかし、さらに劣化して朽ちてしまうよりは、修正して保存した方が良いです。

その感覚で、アンティークコインにも修正を施してしまうのでしょう。

修正すると価値が落ちる理由

しかし、他の美術品と異なり、アンティークコインを修正すると、価値が大幅に落ちてしまいます。それは、なぜでしょうか。

理由は、「ほかにも同じコインがあるから」です。

今回、有名な「ウナとライオン」の5ポンド金貨を例にしました。この金貨は、世の中に1枚しか存在しないというわけではありません。発行枚数は400枚です。

400枚しかないとはいえ、400枚もあります。そのすべてが現存しているとは言えないでしょう。しかし、1枚というわけではありません。

  • 修正していないコイン
  • 修正したコイン

全く同じコインで、上の2種類があるとしたら、どちらが欲しいですか?という話になります。大半のコレクターは、「修正していないコインが欲しい」と思うでしょう。

これが、「修正=価格暴落」となる理由です。

この記事の冒頭でご紹介したコインは、傷が極めて少ないです。この修正痕が発見されるまでは、「世界最高品質のウナとライオン」と評価されることもあったようです。

しかし、素人には分からないレベルの修正が見つかっただけで、価格は暴落です。

お手元にあるアンティークコインで、傷があるから修正したいなあ…と思っても、決して修正しないようにしましょう。

この修正には、銀貨の錆び(銀錆)を落とすといった行動も含まれます。

なお、修正と似た言葉に「磨き」があります。アンティークコインを磨いても、価値が下がります。別記事「磨いたコインの価値はナゼ下がる?-ピカピカコインの落とし穴」で考察しています。

グレード/価値【カテゴリ】

ページトップへ戻る