適正価格はいくら?

アンティークコインを売買する際、多くの人が、ある難問に遭遇するでしょう。「適正価格はいくら?」です。
自分が懇意にしているアンティークコイン業者に確認すれば、分かります。しかし、あまりに気軽に確認しすぎるのは、迷惑になるのでは?と気が引けてしまいます。
そこで、適正価格を比較的簡単に推測する方法を、ご紹介しましょう。
アンティークコイン鑑定会社「PCGS」のホームページです。
上のリンクをクリックしますと、PCGSのホームページに移動します。ここでは、鑑定済みのアンティークコインについて、オークションでの落札価格を確認できます。
「いつ、いくらで落札されたか」が分かりますので、価格の推移を把握することもできます。
使い勝手が良いので、見ていきましょう。
PCGSのホームページの使い方
以下、基本的な使い方をご案内します。
PCGSで鑑定済みの、特定のコインを確認したい場合は、下の画像の赤枠1部分に鑑定番号を入力して検索します。
鑑定番号のある特定の1枚でなく、特定の国のコインを確認したい場合は、赤枠2で国を選択します。US(アメリカ合衆国)を始めとして、いくつもの国が並んでいます。
2で選んだ国のコイン一覧が、下の3の部分に表示されます。この中から、調べたいコインを選んで選択します。

ここでは、「アメリカ合衆国(US)」で、一番左上にある「Liberty Cap Half Cent (1793 - 1797)」を選択してみました。
アメリカ合衆国の最初期のコインですから、大変な高値がついているだろうと予想できます。
下は、「Liberty Cap Half Cent (1793 - 1797)」に移動した画面です。

ここで、Liberty Cap Half Centがさらに細かく分類されて表示されます。製造年代、エッジ(縁)のデザインなど、詳細に見ていくと種類は多数になります。
そのコインの種類ごとに、特定のグレードに分類された枚数は何枚かが表示されています。グレードは、1から70までの70段階です。
上の赤枠1で、どの範囲のグレードのコインを見たいか選択します。選択した結果が、下の大きな赤枠部分に表示されるという仕組みです。
では、コインを1枚選択してみましょう。ここでは、1793年に発行されたハーフセントの価格情報を見たいとします。下の画像の左側にある、赤枠部分「1000」をクリックします。
ちなみに、赤枠のすぐ右にある文字列が、コインの種類を示します。「1793 1/2C, BN」です。これは、「1793年製のハーフセント、茶色」という意味です。

画面を移動すると、最初に出てくるのはコインの画像と、基本情報です。自分が確認したいコインかどうか、この画面ではっきりと分かるでしょう。

確認できる基本情報は、以下の通りです。
- コインの画像
- PCGSの管理番号
- コインのデザイナー
- エッジ(縁)のデザイン
- 直径及び重さ
- 発行枚数
- 造幣局
- 金属の種類
- オークションでの最高落札価格
画面を下にスクロールしますと、グレード別の落札価格が表示されています(下の表)。

この表の見方を確認しましょう。上の行から順に見ていきます。
1グレード
上の画像では、表の最上部に3から12までの数字が書かれています。PCGSでは、コインを1から70までに分けて格付しています。1が最低で、70が最高です。
ページを左右にスクロールさせて、全体を見ることができます。
2Price Guide(USD)
グレード別に、「これくらいが適正な価格でしょう」という目安が表示されています。目安ですので、実際の取引価格ではありません。
3Auctions-PCGS Graded
その下に、オークションでの落札価格が表示されています。アメリカの鑑定会社には、PCGSとNGCがあります。両社とも、グレードに1~70の数字を用いています。
それぞれのグレードごとに、コインがいくらで落札されたかが表示されています。
また、表示をクリックすると、そのコインの情報を閲覧できます。
例えば、「07/19 HA $3,240」と書かれているとしましょう。この読み方は、「2019年7月のヘリティッジ・オークションにて、3,240米ドルで落札されました」です。
ちなみに、このコインについて、グレードが1の画像を見てみましょう。

あまりに摩耗していて、誰の顔が描いてあるのか分かりません。左向きの顔だと分かる程度です。しかし、2016年のオークションでは、1,645ドルの価格がつきました。
興味深いです。
注意事項
なお、上の使い方ですが、注意事項があります。
全ての取引を網羅しているわけではない
このホームページは、鑑定済みのコインについてだけ情報収集しています。また、オークションの落札価格を表示しています。
よって、全世界の取引の一部だけを反映しています。
売買実績が乏しいコイン
また、鑑定済みコインが複数枚あっても、枚数が少ないなどの理由で、ほとんどオークションに出てこないコインがあります。
この場合、PCGSのホームページで適正価格を推測するのは、困難です。
また、鑑定されたことがないコインについては、このホームページを使ってもデータが出てきません。
オークション特有の価格
オークションが開催されると、入札者が競って、市場価格よりも明らかに高い価格で落札されることがあります。
オークション実績が数多くあるコインでしたら、異常値のような高値になっているコイン価格を除外して考えるなど、対策が必要かもしれません。
とはいえ、PCGSのホームページを使うと、気軽に落札価格一覧を確認できます。ありがたく使わせていただきましょう。筆者は、頻繁にこのサイトにアクセスしています。
- 関連・参考ページ
- NGCとPCGS~コインの鑑定と保証
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