アンティークコイン詐欺を回避する方法

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詐欺的な販売から逃れるために

アンティークコイン詐欺イメージ

個人が自由に投稿できるウェブサイトを見ますと、アンティークコインに関するお悩み相談が見つかります。詐欺に引っかかったという例もあります。

また、インターネットオークションなどを見ますと、明らかに偽物でしょう?というコインが見つかることもあります。

おそらくは、その事態を受けて、

  • アンティークコインにお金を出すのはやめましょう
  • 損するから止めた方がいいです

というコメントが溢れることになります。

そこで、「本物を買ったけれど、業者に損させられた」という例をご案内するとともに、その回避方法を考察します。また、偽物を掴まされない方法も、併せて検討します。

これからアンティークコインの収集を検討される初心者の方や、突発的な勧誘に惑わされないための基礎知識として、お役立て下さい。

業者に損させられた事例

購入時期:2015年あたり
購入金貨:1902年発行、エドワード7世(2ポンド)のマットプルーフ
グレード:AU(準未使用)
購入価格:200万円弱

アンティークコインに詳しい人なら、コインの種類と価格を見ただけで、すぐに「この価格は高すぎる」と分かります。しかし、一般の多くの人には分かりません。

では、当時のこの金貨は、いくらが適正価格だったのでしょうか。こういう時に活躍するのが、カタログです。イギリスのアンティークコインなら『COINS OF ENGLAND & THE UNITED KINGDM』です。

通称「SPINK(スピンク)」です。

毎年発刊されており、最新刊には、前年の標準的な取引価格が掲載されます。これを見れば、価格が一発で分かります。下は、2020年版です。

SPINK書籍イメージ

(引用:ダルマコイン

そして、売買は2015年あたりです。そこで、SPINKの2016年版(2015年の価格を掲載)を使って、このコインの適正価格を確認しましょう。

実際に買ってしまったコインの現物を見ていませんが、これだろうというコイン情報を抜き出しますと、以下の通りです。

1902年 2ポンド マットプルーフ FDC GBP1,650

すなわち、完全未使用(FDC)の価格が1,650ポンドです。詐欺かも?と投稿されていたコインのグレードは、AUです。

  • FDC:完全未使用
  • UNC:未使用
  • AU:準未使用

AUはFDCと比較して、グレードが2段階も落ちます。FDCとAUの2枚を並べて比較しますと、アンティークコインの素人でも、その違いがはっきり分かるレベルになります。

といっても、AUでも素晴らしい品質です。FDCが素晴らしすぎるという表現の方が適切かもしれません。

とはいえ、はっきりと違いが分かるレベルです。そのFDCの一般的な取引価格が、1,650ポンドです。当時のポンド/円の為替レートは、180円~190円くらいでした。円に換算しますと、30万円~31万円くらいです。

AUは、明らかに価値が劣ります。よって、安くなります。どれくらい安くなるのか、SPINKでは確定的に分かりませんが、20万円+αになるでしょうか。

ちなみに、これはイギリスの取引価格です。日本に輸入して、消費税を加算して、保管料や営業費用を加えて…と考えると、小売価格はもう少し高くなるかもしれません。

さて、この記事の冒頭に戻りましょう。この相談を書いた人は、いくらで買ったでしょうか。200万円弱です。

業者に、完璧にやられてしまいました。大損です。

詐欺だと断定できない

では、この金貨を200万円弱で売った業者は、詐欺をしたのでしょうか。そうだと断定できません。

仮に、「アンティークコイン価格は上昇していますから、この金貨を持って5年もすれば、価値は大きく上がって必ず儲かりますよ。」という具合で販売していたのなら、詐欺的です。

そうではなく、コレクションアイテムの一つとして、この金貨を売った可能性もあります。

別の商品の例

ここで、別の商品で考察してみましょう。

定価1万円の服があるとします。バーゲンセールで、半額の5,000円になったとします。

おそらく、5,000円で販売しても、業者には粗利があるでしょう。「出血大サービス」などと称して6割引で売っても、粗利はプラスかもしれません。

販売力がある小売店なら、問屋から大変安く仕入れられるでしょう。よって、7割引で販売しても、粗利はプラスになるかもしれません(最終損益はどうなのか知りませんが)。

7割引でも粗利がプラスになる小売店は、仕入れ値の3倍以上の価格で通常販売していることになります。

しかし、定価で買った人は、「7割引きで売っているじゃないか!以前、私は高値で買ったから、差額を返しなさいよ!」となりません。

仕入れた商品をいくらで売るのか、それは小売店の自由だからです。その価格で買っても良いと判断したから、顧客は買いました。

後から安い価格をみて「うっ!」と思うことはあっても、仕方ないとあきらめます。

お宝鑑定の例

もう一つ、古物などを鑑定するテレビ番組の例も、見てみましょう。

鑑定に出した個人が、「1万円で買いました!」という古物に、100万円の価格がついたとします。

では、1万円で売った業者は、この個人に差額の99万円を請求するか?ですが、しません(できません)。

お互いに納得した金額で売買したのですから。

コインは詐欺だったのか?

コインを200万円弱で売った業者は、いくらで仕入れて、どのように売ったのか分かりません。しかし、仕入れた商品をいくらで売るのか、それは業者が決めます。「それでOKだから買います」と決めるのは、消費者です。

日本にはクーリングオフの制度もありますから、訪問販売等だったら購入後でもキャンセルできます。

とはいえ、20万円台だろう金貨を200万円弱で買わされたのですから、買った人から見れば詐欺にあったと感じても仕方ありません。

詐欺的な勧誘に引っかからないためには

では、このような勧誘に引っかからないようにするには、どうすれば良いでしょうか。最終的には、自分の身は自分で守るということになります。すなわち、勉強です。

しかし、これからアンティークコインを始めようという場合、どこから手を付けて良いのか分かりません。

インターネットをざっくりと眺めるだけで、相場よりも高すぎる金貨・銀貨はいくらでも見つかります。そういうところで買うと、損です。

対策1:信頼できる業者を見つける

信頼できる業者を見つけることが、大変重要です。ここで失敗すると、とことんお金を吸収されて損する将来が見えてしまいます。

しかし、信頼できる業者はどれか?を判断するのは、とても難しいです。

一定の知識が身についた後だと、判断できます。しかし、初心者で業者を探す段階では、まだ知識が不十分です。どの業者も、「自社は安全ですよ」と主張していますし。

そこで、対策の2つ目になります。

対策2:カタログを買って調べる

今回のイギリスコインの例でいえば、『COINS OF ENGLAND & THE UNITED KINGDM』(通称SPINK)です。

(株)ダルマでSPINKを買えば、5,000円です。200万円弱の金貨を買うならば、先にSPINKで相場を知るのが必須です。

なお、SPINKと同額でなければ買えない!とやってしまうと、コインを買えない場面が出てくるかもしれません。業者が生きていくには、収益が必要です。消費税の支払も必要です。その分高額になるのは、止むを得ません。

この記事冒頭の人は、事前にSPINKを買って価格を調べていれば、20万円台の価値のコインに200万円弱を支払うという惨事に遭うことはなかったでしょう。

イギリスのアンティークコインを買いたい場合は、SPINKを手元に置きましょう。

ちなみに、高いと分かっていても、あえてコインを買う場合があります。それは、滅多に市場に出てこないコインを買う時です。このようなコインは、次のチャンスがいつ来るか分かりません。

そういう時は、割高と分かっていても買うことがあります。

日本のカタログ価格は参考程度に

では、アンティークコイン価格を調べたいなら、いつもカタログを信用すれば良いか?ですが、そういかないのが難しいところです。

例えば、日本のカタログ『日本貨幣カタログ』です。数年分のカタログを並べて比較していただくと、すぐに分かります。「何年たっても同じ価格で掲載されている!」です。

これでは、実勢価格が全く分かりません。日本のコイン価格を調べたい場合は、別の手段を探します。

信頼できる業者を見つけるには

仮に、SPINKで対策を取っていたとしても、偽物を買わされてしまってはいけません。そこで、対策1に戻りましょう。信頼できる業者で、本物を買います。

では、そのような業者を見つけるには、どうすれば良いでしょうか。誰にでも分かる方法として、当サイトでは以下の方法をご案内しています。

外国コインを主に買いたい場合

国際的なコイン業者の業界団体「IAPN」に加盟している業者

日本のコインを主に買いたい場合

国内のコイン業者の業界団体「日本貨幣商協同組合」に加盟している業者

古銭商は、誰でも開店できます。多くの場合、古物商許可を取っていますが、義務ではありません。また、古物商許可を取るのは、極めて簡単です。

業界団体は、業界の健全な発展のために作られた団体です。よって、自主規制があります。業界団体に加盟していない業者が複数ありますが、あえて業界団体に加盟しない理由は何でしょう。

業界団体に加盟している業者から、高額な金貨を買いたいでしょうか。それとも、加盟していない業者から買いたいでしょうか。

真正なコインを適正な価格で買えるなら、正直なところ、団体の加盟有無は重要でありません。

しかし、初心者がこれからアンティークコイン収集を始めようという場合、こういう分かりやすい観点で業者を選別すると、相場の何倍もの価格で売りつけられる可能性を低くすることができそうです。

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